chura-machiのブログ<時には万年筆で②>

旅に出てうたを綴る・自転車、鉄道、フォークソング

羽田空港航空機事故 ー空白の40秒ー

1月2日に羽田空港C滑走路で起きたJAL機と海上保安庁固定翼機との衝突事故。事故原因について私見を述べたい。

▶︎問題は3つ

今回の衝突事故、問題は3つあると思う。1つ目は海保機が航空管制の指示と違い、滑走路手前の停止位置ではなく、滑走路内に誤って進入して停止したこと、2つ目は海保機が滑走路に進入してからJAL機が衝突するまで40秒間の間に航空管制官が誤侵入に気づかなかったこと、そして3つ目は着陸してきたJAL機が滑走路上の海保機の機体に気づかなかったこと。

▶︎1つ目の問題は

「No.1。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください。」と航空管制官は、指示し、海保機の機長はこれを復唱している。シロウトが聴くとC5上の滑走路停止位置というところが滑走路手前なのか、滑走路の中なのかわからないが、これは現場のプロの間では滑走路手前の停止位置というのは当然で、これを間違うことはあり得ないそうだ。またこの時点で発せられるNo.1という言葉も離陸順位が1番目ということで、これも間違いようの無いとのこと。ただ実際は何らかの原因で海保機は滑走路上に進入してしまった。
これは、毎日毎日何回も離着陸を経験している航空会社のパイロットやそれに指示を出す管制官にとっては当たり前のことでも、おそらく空港の利用頻度がずっと低い海上保安庁パイロットにとってはどうだったろう。
今回のようなケースでは何らかの配慮が必要だったのではないか。人は間違うものだ、しかも経験が少なければそういった間違いは起こりやすい。

▶︎2つ目の問題は

海保機が滑走路に誤侵入して衝突まで40秒という時間があった。この時間があれば管制官JAL機にゴーアラウンド(着陸復行)の指示を出し、衝突を避けることが十分に出来たはずだ。ところが担当した管制官は別の航空機の管制業務に追われており、海保機の誤侵入に気づくことができなかった。滑走路で火災が起きているが、しばらく何が起きているか把握できていなかったと後に発言している。
これはつまり、一旦指示を出した航空機に対して、それを監視する余裕がない状況であったということであり、おそらくそれでほとんどの場合は問題ないのだろう。プロのパイロットと管制官の関係であれば間違いようがないと。
しかし、事故は起こった。本来であれば管制は絶対に気づかなければならない事案だった。40秒も時間があったのだから。
管制官1人の担当する仕事量が多すぎるのではないか。そもそも羽田空港のラッシュ時の混雑は異常だ。多い時には1分間に1.5回の離着陸が行われている状況だという。これを管制官の技量に依存し、綱渡りでこなしているのだとしたら、絶対に見直すべきだ。

▶︎3つ目の問題は

着陸してくる旅客機は滑走路進入端標識を通過するくらいまでで、滑走路上の異常に気付けばゴーアラウンドが可能だという。今回のエアバスA350-900のような大型の機体の場合はなおさら早い対応が求められる。今回の場合、滑走路端標識から着陸地点までは距離があり、さらにその先にいた海保機の機体を見つけることは夜間であったこともあり、見つけることは難しかった。JAL機のパイロットに事故を回避するチャンスは少なかったと言えるだろう。
つまり今回の事故は2つ目までの問題が起こった時点で、防ぐことはほとんど困難になったと言える。

▶︎どうすればこのような事故を防ぐことができる

私が思うに一番の問題は羽田空港の混雑だと思う。空港の離発着に関わるすべての人々が完璧ならば、滑走路の物理的な限界までの使用が可能だろう。しかし人間は完璧ではなく、必ずミスを起こす。そうであるならば、必要であるのは余裕であり、人一人にかかる負担を減らすことである。飛行機の離発着を減らすか、人員を増やすのか、はたまた人をサポートする機能を増やすのか。私は飛行機の離発着を減らすことが1番安全にとっては効果的だと思うが、人々はこの選択ができるだろうか。
責任は飛行機を利用する側にもある。便利さを求めるあまり、いつでもいつのときでも自分の都合で、効率的に飛行機に乗りたい。そういうサービスを求めている。これを改めなければいけないと思う。今回の事故を教訓にしたい。