私の革靴③ アノネイ社のカーフ靴
3回目に取り上げる靴は、アノネイ社のカーフを甲革に使用した靴。前回は栃木レザーという、日本のタンナーの革を使った靴を2つ紹介しましたが、今回は海外のタンナーの革を使った靴です。
▶アノネイ社とは
アノネイ社とはフランスの有名なタンナーの一つで、もう一つの有名なタンナー・デュプイ社から独立した会社です。
アノネイ社のレザーは、とても人気があり日本でも各社が採用しています。私がすぐ思いつくのは、スコッチグレインのオデッサシリーズとアウトレットの匠シリーズですかね。
▶アノネイ社が出している革の種類は
アノネイ社の革で特に有名なのは、「ベガノ」と「ボカルー」で、両方とも生後3~6か月の仔牛から加工されたカーフと呼ばれるレザーです。カーフはきめが細かく美しい革ですが、水濡れ等に弱く手入れに気を使います。
ベガノとボカルーの違いは、私はベガノは柔らかしなやかな革で、ボカルーは自然な光沢があり、ベガノよりやや硬めな印象を持ちます。ただどちらにしても肌目が美しい革です。
▶ベガノカーフを使用した靴・リーガル04MRCF
リーガルのAUTHENTICシリーズの一つで、残念ながら2021年から廃盤になってしまうようですが、ベガノカーフを使用したとても高級感のある靴です。MRCFは写真のようにプレーントゥのデザインですが、ほかに型番違いでDRCDシリーズがあり、ストレートチップ、パンチドキャップトゥ、ウィングチップのデザイン展開があります。ちなみに、DRCDシリーズは廃盤にはなりません。
革質は柔らかく、そしてとてもきめが細かく、すばらしいと思います。これでいて、価格が36000円(税抜)と、かなりお得です。
▶リーガル04MRCFの特長・和風の仕上げ「矢筈コパ」
矢筈コパとは、矢の先端を弓にひっかっける部分の形状をまねたコパで、特徴的な形になっています。矢筈コパの加工をしてあるソールは、薄く見え、とてもドレッシーな印象となります。
ちなみに矢筈コパは海外メーカーではほとんど見ることはなく、日本独特のものと言えます。
▶ボカルーカーフを使用した靴・スコッチグレインブローデンⅡ
ボカルーカーフの特長か、磨くと光沢の出やすい革です。この靴、履いた感じはめちゃめちゃ固いです。サイズは25.0EEEですが、両足ともつま先がきつい(私の足のサイズは右が25EEE、左が24.5EE)。これは、0.5サイズを上げておけばよかったと思っています。ボールジョイント部分はEEEなのでそれなりに余裕があるのですが、スコッチグレインの靴はリーガルと比べてやや小さめかもしれません。
ただし、革質も作りも美しく、眺めているだけで満足のいく製品です。
▶ブローデンⅡの特長・スパイシーソール
ソールの革を着色せず、革本来の味わいを生かした作りになっており、私はこのソールがめちゃくちゃ好きです。単純にカッコイイ。ソールが美しい木目のような感じに見えます。
このスパイシーソールは、ブローデンⅡ以外に、オデッサⅡも採用されています。
▶ベガノ・ボカルーどちらも正統派の革質
アノネイ社の2つのカーフを紹介しましたが、とにかくきめが細かく美しい革質だと思います。ただ欲を言えば、もう少し自然味の粗っぽさが欲しいなと思ったりもします。でも、日本人はこういう正統派の革が好きだと思います。